靴や鞄によく用いられていて、最近はスニーカーでもよく使われているスエードとヌバックですが、「2つの違いがよくわからない」という方も多いのではないでしょうか?
そこで、今回はスエードとヌバックの違いについて紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。
(トップ画像出典:https://pixabay.com/ja/photos/%E9%9D%A9-%E8%A1%A3%E6%96%99%E5%93%81-%E8%83%8C%E6%99%AF-768230/)
スエードもヌバックも起毛革の種類の1つ

スエードとヌバックは、どちらも起毛革という革の種類に分類されます。なのでスエードとヌバックの説明をする前に、まずは起毛革について説明します。
起毛革(きもうかわ)とは名前の通り、革の表面が毛羽立っている革です。サラサラした手触りで、高級感・ビンテージ感があるのが特徴的です。
英語で(brushed leather)といい、表面をサンドペーパーなどの研磨材を使って起毛させた革のことをいいます。身近でもたくさん使われていて、最近では起毛革のスニーカーが増えてきています。
起毛革は特徴の違いによって呼び名が変わる
起毛革はじつは種類がたくさんあり、使う動物や、研磨する面、研磨の仕方によって呼び名がわかれます。起毛革の種類は主に以下の5つに分類されています。
- スエード(suede)
- ヌバック(nubuck)
- ベロア(velours)
- バックスキン(Buckskin)
- セーム革(Chamois leather)
今回はこの中でも、スエードとヌバックについて主に解説していきます。
また、ベロア、バックスキン、セーム革についても最後に少し紹介していますので、最後までご覧ください。
革のオモテとウラの違い

革のオモテとウラの違いがわかると、スエードとヌバックの違いも理解しやすくなるので、まずは革のオモテウラの説明します。
革にたずさわる仕事をしている人は、革の表と裏のことを下記のように呼びます。
- 表(皮膚側)のことを銀面(ぎんめん)
- 裏(肉側)のことを床面(とこめん)
銀面は、普段私たちが手にしている革製品の見える側です。一方、床面は革の繊維が見えていることが多く、毛羽立っている面です。
スエードとヌバックの違い
では、銀面、床面を理解したところで、スエードとヌバックの違いについて説明していきます。
スエードとヌバックは、使われる革の種類と、研磨して毛羽立たせる面が違います。
- スエード・・・おもに豚革の床面(裏面)を研磨
- ヌバック・・・おもに牛革の銀面(表面)を研磨
スエードは繊維がやや粗めの床面を毛羽立たせるため長めの毛足で、逆にヌバックは革の表面を起毛しているので毛羽は短く、スエードよりも丈夫です。
一般的に普及しているのはスエード、あまり見かけなくて高級なのがヌバックです。
スエードについて
スエードについて、もう少し詳しく説明していきます。スエードは床面(裏面)を毛羽立たせるため、長めの毛足を作ることができます。
スエードは削れば削るほどキレイで安定した起毛になるため、大抵薄くてしなやかな革になりますが、その代わり強度は落ちます。
一般的に「起毛革と言えばスエード」というほど認知度の高い革で、傷などで銀面(表面)の状態が良くない皮を使用することが多いため、ヌバックに比べると比較的安いのも特徴です。
主に豚革が使われ、ほかにも山羊、牛、鹿、羊など小動物の皮が使われることがあります。
ヌバックについて
続いて、ヌバックについて、もう少し詳しく説明していきます。ヌバックは銀面(表面)を毛羽立たせるため、皮に厚みがありスエードに比べて丈夫です。
毛羽はとても短いですが、手触りがよく、ほっこりした温かみがある印象です。ツヤもあり毛並みもなめらかで、マットでさらっとしています。
上品な滑らかさがあり、牛革を使用することが多いことから、起毛革の中でも高級な革になっています。
スエードとヌバックの違い【使われる革製品】

ここでは、スエードとヌバックで使われる革製品の違いを紹介します。
スエードが使われる革製品
起毛感が強く、革が薄いという特徴から、パンプスやブーツなどの靴、他にもベルトやバッグ、手袋などに使用されます。
ヌバックが使われる革製品
丈夫で手触りが良いという特徴から、スニーカーやブーツなどの靴、ハンドバッグ、またスエードと違って革財布にも使われます。
またヨーロッパでは、丈夫で手触りがよく上品な見た目から、高級家具へ使われることもあるようです。
スエードとヌバックの違い【お手入れ】
スエードとヌバックだけでなく起毛革全般に言えることですが、日光や油汚れに弱いため、使う前に防水スプレーを吹きかけましょう。
また、起毛革は毛にホコリや砂がよく絡まるため、こまめにブラッシングしましょう。
スエードのお手入れ
ヌバックに比べるとスエードのほうが、手入れのステップが少ないので、手入れが簡単というイメージがあります。
- まず毛の流れに逆らってブラッシングで汚れを落とす。
- 汚れが落ちたあとは毛の流れに沿ってブラッシングすると、だいたいの汚れは落ちる。
スエードは他の革よりも水に弱く防水スプレーが必須な上、もし濡れたり汚れたりしたら、放置せずにすぐに落とすようにしましょう。そのままにするとシミの原因に繋がります。
ヌバックのお手入れ
ヌバックは、いいかげんな手入れをしてしまうと、数年で傷んでしまう革です。正しい手入れをしましょう。
- ブラッシングで汚れを落とす。
- 防水ジェルを手に取り製品全体に伸ばし、ブラシですりこみ保護する。
- ローションを塗り込み、色を復活させる。
- 指にワックスを取り、全体に馴染ませたあとにブラシですりこみ栄養補給。
- 最後に手で直接ワックスをすりこませて、磨き上げる。
正しく手入れして、起毛革製品をより長く大切に使っていきましょう。
スエードとヌバック以外の起毛革について
スエードとヌバック以外にも、ベロア、バックスキン、セーム革などの起毛革があります。これらの特徴についても紹介していきます。
ベロアの特徴
スエードと同じく革の床面(裏面)を毛羽立たせたもので、スエードに比べて毛足が長く滑らかなのがベロアです。高級革製品やドレスなどに使用されています。
明確なスエードとの使い分けが難しいですが、スエードと違ってあまりメジャーな素材ではありません。
バックスキンの特徴
「BUCK SKIN」はオスの鹿革という意味です。また、耳で聞くと「BackSkin(革の裏)」に聞こえるので、スエードと同じ床面(裏面)を起毛した起毛革という意味合いでも使われます。
なので、日本ではバックスキンの使い方があやふやで、鹿革、鹿革の起毛革、スエードと似た革など、混同されて呼ばれています。
セーム革の特徴
セーム革は多孔質なので水をたくさん吸う性質があります。なので普通の革とは違い、車を洗車したあとの拭き上げなどに使われる実用的な革素材です。
日本ではキョンという鹿の革を使ったキョンセームが高級品として出回っています。
スエードとヌバックの違い まとめ

今回はスエードとヌバックの違いについて紹介してきました。参考になりましたでしょうか?まとめるとこのようになります。
特徴 | スエード | ヌバック |
研磨面 | 床面(裏面) | 銀面(表面) |
毛足 | 長い | 短い |
革の厚さ | 薄い | 厚い |
質感 | 毛並み感と柔らかい肌触り | ツヤがあり滑らかな肌触り |
今回調べたところ、革の種類や呼び方の定義は曖昧で、国によって異なることもあるようです。
起毛革はスニーカーや鞄など身近な素材なので、普段から使っている革の種類も確かめてみてはいかがでしょうか。