「トーネット」という名前を聞いて、ピンとくる方は少ないかもしれませんね。
日本ではあまりその名を知られていない、高級椅子メーカーのトーネット社。実は、その歴史を見ていくと、現在の家具業界に大きな影響を与えているメーカーであることが分かります。
この記事では、家具好きなら絶対に押さえておきたいメーカー「トーネット」について、歴史・技術・有名な椅子を交えながら、ご紹介していきます。
(トップ画像出典:http://en.thonet.de/homehtml.html)
高級椅子メーカー「トーネット」とは?
1819年に、Michael Thonet(ミハエル・トーネット)によって創業されたトーネット。
”ドイツの老舗家具メーカー”とよく表現されますが、現存する世界最古の家具ブランドの一つで、とても歴史のあるメーカーです。2019年の時点で、創業200周年となります。
この後詳しくご紹介しますが、トーネットといえば、「No.14」と呼ばれる曲木の椅子が有名だと言われています。
まずは、トーネットの歴史から学んでいきましょう。
高級椅子メーカー、トーネットの歴史
トーネットは、1819年にドイツで創業されました。創業から現在まで、Made in Germanyにこだわっており、トーネットで取り扱っている家具全てが、ドイツの自社工場で生産されています。
今日の家具メーカーの基礎を作ったのがトーネットと言われるほど、現代の家具メーカーに多大な影響を与えており、例えば、家具の製品カタログを制作したのは、トーネットが始まりと言われています。
当時のデザイン界に影響を与えた、ドイツの造形学校「バウハウス」とのコラボレーションを積極的に行い、現在も様々なデザイナーと共に、新しい製品を発表しています。
創業から現在まで、200年経っても、長年愛され続けている家具メーカーが、トーネットなんです。
高級椅子メーカー、トーネットの技術
トーネットは、世界初となる曲木の技術を開発したメーカーです。曲木とは、木材を高温の蒸気で温めて、アーチ状に曲げる技術のことをいいます。
曲木は、現代の家具でも使われている技術で、日本の家具メーカーでは「天童木工」が曲木の家具で有名です。
トーネットの創業者であるミハエル・トーネットは、当初、接着剤で煮たベニヤ板を使って実験しましたが、最終的には現在の”蒸して曲げる”加工方法を開発したようです。
当時、木材を曲げる技術は革命的でしたが、200年経った現在でも、世界中で曲木の椅子が製造・販売されています。このことから、家具業界において、曲木の技術がどれだけ重要な技術となったのかが分かりますね。
2019年から、プラス株式会社でトーネットの取り扱いが開始!
そんな老舗メーカー、トーネットの椅子は、家具好きなら一度は手に入れたいと思いますが、実際に購入するとなると、購入先が信頼できる店舗なのかどうか、確認するのは面倒ですよね。
そんなあなたに嬉しいお知らせがあります。2019年の8月から、オフィス家具を扱う日本の大手メーカー「プラス株式会社」で、トーネットの家具を販売するための”輸入販売契約”を正式に結んだそうです。
(参考:https://www.plus.co.jp/news/201907/0003750.html)
トーネットの椅子を扱うアンティーク家具店や、正規代理店を名乗る店舗もありますが、このような、大手メーカーから購入するほうが、安心感があるのではないでしょうか。
100%本物のトーネットの椅子を手に入れたいのなら、プラス株式会社の専用サイトから購入することを、強くおすすめします。
トーネットの名作「No.14」はコレクターにも人気の椅子
トーネットで最も有名な椅子「No.14」は、bent wood chair(ベントウッドチェア)と呼ばれます。bentは湾曲したという意味があり、訳すると、”曲木の技術で曲がった椅子”という意味です。
名作椅子「No.14」は、6つのベントウッド(曲がった木のパーツ)で成り立っています。
現在、トーネットからは「No.14」という名前の椅子は発売されていませんので、形が似ている「214」と呼ばれる椅子を参考にご紹介します。

このように、椅子のパーツがわずか6つのパーツに分かれることで、世界中へ輸出することが可能になり、トーネットが世界最大の家具メーカーとなるきっかけになりました。
また、人気モデルの「No.14」は、作られた年代や製造された工場・会社によって、椅子のデザインが少しずつ変化しているんだそうです。
アンティーク家具を扱う『デニム アンティーク ファニチャー』によると、トーネットの「No.14」で最も人気な形は、1859年に発売されてから2つ目のモデル。
工場で生産された部品を輸入し、現地で組み立て・販売する”ノックダウン式”になったばかりの椅子なので、マニア垂涎のモデルなんだそうです。
(参考:http://shop.denim-furniture.jp/products/detail10019.html)
他の高級メーカーに負けない!トーネットの有名な椅子
ここからは、名作椅子「No.14」のほかに、トーネットで有名な椅子を2種類ご紹介します。
S32 V

トーネットで有名な技術は、曲木の技術だけではありません。スチールパイプを曲げる技術も、家具業界でトーネットが初めて開発しました。
座面・背もたれに使われている、曲木と枝編み細工の技術と、スチールパイプのフレームは対照的です。伝統と未来を組み合わせたデザインは、発売当初から現在まで、人気である理由の一つかもしれませんね。
- 【サイズ】
出典:https://kagu.plus.co.jp/product/thonet-s32
- 【素材】クローム・ブナ材・籐張り
404 H

他にはないユニークなスツールをお探しなら、トーネットの『404 H』がおすすめです。
三本脚のスツールは、とにかく見た目が印象的です。『404 H』は、椅子に座るとわずかに”揺れる”仕掛けがあります。まるで、馬の鞍に座っているかのような座り心地のスツールです。
- 【サイズ】
出典:https://kagu.plus.co.jp/product/thonet-404h/
- 【素材】オーク材積層成型合板
高級メーカー「トーネット」の椅子は、無印良品でも購入できる!

トーネットの家具を購入できる店舗は、プラス株式会社だけではありません。実は、シンプルなプロダクトで人気の無印良品でも、トーネットの家具が購入できるんです。
無印良品では、トーネットの椅子を”リプロダクト”したものを取り扱っています。
リプロダクトとは、物のデザインができる権利が切れた作品を、オリジナルに出来るだけ近づけて作った製品のことをいいます。リプロダクト品は開発費が少ないため、製品を低価格で購入できるメリットがあります。
無印良品では「MUJI manufactured by THONET」というプロジェクトとして、多くの人が良質な家具を使えるような挑戦をしています。
トーネットの椅子が向いている人とは?
ここまで、ドイツの老舗家具メーカー、トーネットの椅子についてご紹介しましたが、トーネットの椅子は、どんな人に向いているのでしょうか。
トーネットの家具は、日本ではまだ、名前が知られていないメーカーです。そのため、あなたの友人・知人に「トーネットの椅子を買った」と伝えたからといって、相手の反応には期待しないほうがいいでしょう。
「本当にクオリティの高い椅子・歴史のある椅子を持って、満足したい」と思うのであれば、ドイツで200年の歴史がある、トーネット社の椅子がおすすめです。
トーネットの高級椅子は、メーカー店舗で直接試そう
トーネットの椅子を購入するなら、なるべくサイズ感や座り心地を直接確認した上で、購入したいですよね。
トーネットと輸入販売契約を結んだプラス株式会社は、東京・赤坂にショールームがあります。
ただし、トーネットの椅子を扱っているかどうかの情報がありませんでしたので、気になる方は、プラス株式会社のショールームへ直接問い合わせてみてくださいね。
また、無印良品であれば、トーネットの椅子をリプロダクトした製品を2種類取り扱っています。お近くに店舗がある場合は、店頭に在庫があるかどうか確認した上で、ぜひ一度足を運んでみましょう。
まとめ
今回は、高級椅子メーカー、トーネットの歴史・技術・有名な椅子についてご紹介しました。
「あまり聞いたことがない名前だなぁ」と思った人でも、この記事を読んで、家具業界に多大な影響を与えたメーカー、トーネットについて、少しでも興味を持っていただけると嬉しいです。
世界最古の家具ブランドの一つでもあるトーネットの家具は、マニアも多く、アンティークで購入するとなると、かなり高額な値段がついていることもあります。
トーネットの椅子を気軽に手に入れたいなら、無印良品のリプロダクト品を購入するといいでしょう。オリジナルデザインを忠実に再現した椅子は、お部屋に1つあるだけで、上質な時間を過ごすことができそうですね。


