本革は仕上げ方法によって質感がかなり異なります。本革の仕上げ方法の中でも特に魅力的なのがセミアニリン仕上げです。革製品の説明でもときおり登場する仕上げ方法ですよね。
しかし、実際にセミアニリン仕上げがどんなものなのか分からないという人も多いでしょう。仕上げ方法によって手入れ方法なども違うので、しっかり知っておきたいものです。
この記事では、セミアニリン仕上げの特徴や手入れ方法、セミアニリン仕上げの革を使ったおすすめソファ2つも紹介しています。ぜひ参考にしてくださいね。
(トップ画像出典:https://unsplash.com/photos/jFkRkea2TX0)
セミアニリン仕上げとは?

セミアニリン仕上げは高級な革に使われる仕上げ方法です。セミアニリン仕上げをすると、革の質感を残しながらもある程度、汚れに強い仕上がりになります。
革の仕上げには革の色を染める「染料」と、革の表面をコーティングする「顔料」の2つが使われます。
セミアニリン仕上げでは、「染料とごくわずかの顔料」が使われているんですよ。次章で染料と顔料について詳しく解説していきます。
まずは基本から!革の仕上げはどんな風にするの?

前章で紹介したように、革の仕上げには染料と顔料が使われます。そして、染料はほぼ全ての仕上げ方法に使用されるので、どのくらい顔料を使うかどうかで仕上げ方法を区別しています。
顔料は、革をコーティングして表面を滑らかにします。顔料が多ければ多いほど革が厚くコーティングされるので、多少シミや傷のある革でも美しく、色鮮やかに仕上がるんですよ。
ただ、顔料をたくさん使うと革本来の味わいは半減してしまうというデメリットもあります。しかし、顔料を使わないと、革の表面がむき出しになるので革がとてもデリケートで、手入れが大変です。
セミアニリン以外の仕上げ方法はどんなものがある?

前章でざっくと革の仕上げ方法について紹介しました。ここでは、革の仕上げ方法をさらに細かく見ていきましょう。革の仕上げ方法を顔料の使用量が少ない順に並べると以下のようになります。
- 素上げ…染色をしない仕上げ方法。革に直接触れることができ、経年劣化を楽しめる。
- アニリン仕上げ(染色仕上げ)…染料のみの仕上げ。革の質感を感じられるが、色移りする。
- セミアニリン仕上げ…染料とごくわずかの顔料の仕上げ。革の質感と汚れへの耐性を併せ持つ。
- 顔料仕上げ…鮮やかな発色と汚れへの耐性が魅力。革の質感は薄い。
それぞれの仕上げには特徴があり、一概にどれが良いのかということは言えません。用途によって使い分けたり、好みによって選んだりします。
セミアニリン仕上げはいいとこどり

前章までで、顔料を使うものと使わないもので、革の質感が楽しめるかどうかや、手入れの大変さが変化することが分かりましたね。
セミアニリン仕上げは染料とごくわずかの顔料を使うので、革の質感も楽しめますし、手入れも比較的簡単です。染料のみを使う仕上げと顔料を多く使う仕上げのいいとこどりをするような形ですね。
革の質感を楽しみたいけど、手入れにそこまで神経を使いたくない人におすすめの仕上げ方法です。
セミアニリン仕上げの特徴

前章までで、セミアニリン仕上げについて少しづつ分かってきましたね。
ここではさらにセミアニリン仕上げについて知るために、顔料をたくさん使う仕上げとセミアニリン仕上げを比較しながら、セミアニリン仕上げの特徴を解説していきます。
透明感がある
顔料をたくさん使うと、革を鮮やかな色に染め上げ、表面をなめらかにすることができますが、その分透明感がなくなります。
それに対して、セミアニリン仕上げは顔料を少ししか使わないので、鮮やかな色は出せませんが奥行きのある色味が特徴です。セミアニリン仕上げのほうが艶が強く、角度によって違う表情を楽しめます。
吸いつくような手触り
顔料をたくさん使う仕上げでは、革の表面をコーティングするので、手触りがゴワゴワします(時間が経つにつれて少し解消される)。
それに対して、セミアニリン仕上げは最初から革がしなやかで、肌についつくような心地よい肌触りです。
経年劣化が綺麗
革は時間が経つにつれて劣化していきます。顔料をたくさん使うほうが劣化に強い印象を持つかもしれませんが、実はそうではありません。
確かに、使い始めは顔料をたくさん使う仕上げのほうが、革をコーティングしているので傷に強いです。しかし、顔料を使うと革が固くなりやすく、一度表面がはがれると一気に色味も落ちてしまいます。
対して、セミアニリン仕上げは最初こそ傷がつきやすいものの、革がしなやかなので大幅に色味が落ちるまでにはかなりの時間がかかるんです。
そして、傷ついた部分をオイルで補修する際も、セミアニリン仕上げは周りとの色の差が少なく済みます。顔料をたくさん使う仕上げでは、顔料がはがれ落ちてしまうと、オイルだけでは傷を隠しきれません。
セミアニリン仕上げが良く使われるもの

ここでは、セミアニリン仕上げの革はどんな製品に使われているのかについて紹介していきます。
セミアニリン仕上げは、高級車のシートや高級家具(ソファなど)によく使われています。
セミアニリン仕上げは、革の質感を楽しめてある程度の汚れには強いですが、顔料仕上げに比べると皮脂汚れに弱いので、よく肌に触れるものには向きません。
そのため、顔料仕上げの革は肌によく触れる携帯電話のカバーなどにも使われますが、セミアニリン仕上げの革はあまり使われていないんですよ。
セミアニリン仕上げのおすすめ2人掛けソファ
セミアニリン仕上げの革を使用した2人掛けのソファを紹介します。このソファはセミアニリン仕上げの革を使っていますが、背面などは合皮を使用しているので7万4千円と比較的安価です。
飽きがこないシンプルなデザインがセミアニリン仕上げの革が持つ高級感を引き立てており、どんな部屋とも相性がいいですよ。自分の部屋をセミアニリン仕上げの革で高級感ある部屋にしてみてください。
デザインが良いだけでなく、背もたれは座り疲れしない高めの設計ですし、ひじ掛けは枕としても使える高さになっているので、実用性も高いです。長く愛用するには最適なソファと言えるでしょう。
セミアニリン仕上げの革を使った一人掛けソファ
次に紹介するのは、セミアニリン仕上げの革を使った、オットマン付きの一人掛けソファです。セミアニリン仕上げの革ソファで、優雅にくつろいでみませんか?
このソファも機能的で、頭の部分は高さ調整が可能ですし、リクライニング機能もあります。自分の体格や楽な姿勢に合わせてソファを変形できるので、思いっきりリラックスできますよ。
また、オットマンは収納スペース付きなので、テレビのリモコンや読書本などの収納に便利です。狭いスペースでもセミアニリン仕上げの革を楽しみたい人におすすめです。
セミアニリン仕上げの手入れ方法

せっかく購入したセミアニリン仕上げの革製品は、手入れをしっかりして綺麗に長く愛用したいですよね。ここではセミアニリン仕上げの手入れ方法について紹介していきます。
購入したらクリームで保護する
セミアニリン仕上げの革製品を購入したら、まずはクリームで保護しましょう。最初にクリームで保護しておくことで、汚れが付きにくく長持ちしますよ。
その後のクリームを塗るタイミングとしては、半年に一度程度で大丈夫です。

普段の手入れ
普段の手入れは、掃除機などでほこりをとりのぞいたり、乾拭きをしたりします。手入れはなるべく毎日、少なくとも2~3日に一度は行ってください。
汚れが気になってきたら
汚れが気になってきたら、専用のクリーナーを使って汚れを落としましょう。ただ、やりすぎると革にダメージがたまってしまうので、多くても半年に一度を目途にしてください。
セミアニリン専用のケアキット
セミアニリン仕上げの革製品を購入したら、セミアニリン専用のケアキットもあわせて購入しておくと安心です。
汚れを落とすクリーナーや革を保護するクリーム、汚れを落とす際に使うスポンジ、拭き上げに使うクロスがセットになっているので、これ一つあればセミアニリンの手入れはばっちりですよ。

まとめ
セミアニリン仕上げについて紹介してきました。記事の内容を一覧にまとめると下記のとおりです。
- セミアニリン仕上げに使われる革は上質なもの
- セミアニリン仕上げは革の質感が楽しめ、汚れへの耐性もある
- セミアニリン仕上げの普段の手入れは乾拭きをする
- セミアニリン仕上げについてしまった汚れを落とす場合は専用クリーナーを使う
セミアニリン仕上げは、上質な革が使われていて、革本来の質感が楽しめますし、汚れへの耐性もあるとても魅力的な仕上げ方法です。「良い革製品を長く愛用したい」と考えている人におすすめです。