高級絨毯としても知られる『キリム』。個性的な柄や色鮮やかなものも多く、キリムを見たあなたは「どんな絨毯なんだろう」と興味が湧いているのではないでしょうか?
キリムとは、主に中東で製造された敷物ですが、見れば見るほどデザインや素材の種類についても気になってきますよね。
今回は、世界でも使われている『キリム』という絨毯について具体的に紹介していきます。この記事を読んで頂ければ、キリムがどのような絨毯かイメージできるのでぜひ参考にしてみてください。
(トップ画像出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/929530?title=トルコのカーペット&searchId=85803925#)
日本でも『キリム』が使われる理由とは?
世界的に有名な「キリム」ですが、近年は日本の住環境においても使われることが増えてきています。
キリムとは“遊牧民の生活の中から生まれた敷き物”ですが、日本では「インテリア」の一部として使われる方が多いです。
「キリム」という絨毯は、デザインがとても個性的で高価なものでは数百万円もします。
そのような特徴もあり、「部屋にアクセントを加えたい」「高級感を演出したい」という方から特に人気を集めています。
古くから存在する『キリム』の歴史について
キリムの歴史はとても古く、現存するものではおよそ13世紀頃のキリムが最古だと言われています。
起源の詳細は特定されていませんが、絨毯の歴史は紀元前にまで遡るとも言われ、このように長い歴史を誇るのもキリムが愛される理由の1つです。
古くから生活道具として使われてきたキリムですが、19世紀〜20世紀初頭に掛けて欧米人の間で人気が高まり、キリムを収集するコレクターも出てきました。
現代はライフスタイルが大きく変化したこともあり、キリムを織る遊牧や部族の数が減少しています。そのため、オークションでは高値で取引されることも多いです。
世界で使われる絨毯『キリム』は遊牧民が生んだ万能アイテム
先程も紹介したように、キリムとは“遊牧民の生活の中から生まれた敷き物”です。
元々は生活道具として使われており、「テント」「収納道具」「布団」など万能的な道具として重宝された背景があります。
「Kilim(キリム)」とは、トルコ語で「平織りの織り物」のことを指し、主にトルコ・イラン・中央アジアで織られています。
時間を掛けて手織りで織られ、1つとして同じデザインが存在しないところも魅力の1つです。
『キリム』は織られてからの経年で3つの種類に分類される
長い歴史を持つキリムは、織られてから経つ年数によって3つの種類に分けることができます。
- ニューキリム:10〜15年
- オールドキリム:数10年〜100年
- アンティークキリム:100年以上
一般的には新しいものほど高価になるケースが多いですが、キリムの場合は古いものほど価値が高くなります。
それは「オールドキリム」や「アンティークキリム」が、現代の製法(ニューキリムの製法)と異なるからです。
また、コレクターによる収集やキリムを織る遊牧民や部族が減少したこともあり、手に入りにくい古いキリムはより希少価値が高まっています。
『キリム』の名前の付け方は地方によって特徴が異なる
一概にキリムと言っても様々な名前がありますが、地方によって名前の付け方に特徴があります。
例えば、「トルコ」のキリムは「アナトリアキリム」も呼ばれており、アナトリアは地域の名前となります。
このようにトルコ産のキリムには、“地域”の名前を付けるケースが多いです。
また、ペルシャ絨毯の産地としても有名な「イラン」では、キリムの名前に“部族”の名を付けることが多いです。
『キリム』と混同されやすい「ギャッベ」との違いとは?
ここまでキリムについて紹介してきましたが、同じく遊牧民が織った「ギャッベ(ギャべ)」という絨毯と混同される方が非常に多いです。
「キリム」と「ギャッベ」の大きな違いは、敷き物を使う目的です。それぞれには以下のような時代背景があり、製造の仕方も異なります。
キリム
「キリム」という絨毯は、主に中央アジア地域の「乾燥地帯」にいた遊牧民が製造し、敷き物・掛け物・収納道具など幅広い用途で使われていた背景があります。
様々な用途で使うため、厚みが薄く平織り(毛足が無い状態)で作られています。
ギャッベ(ギャべ)
「ギャッベ」という絨毯は、イランの「山岳地帯」の遊牧民が製造し、主に地面に敷くのを目的に使われていた背景があります。
座ったときの体への負担を和らげるため、毛足を長くして厚みが出るように作られています。
伝統的な絨毯『キリム』はどのようにして織られているのか?
この章からは、キリムの織り方をはじめ、絨毯の素材・デザイン・サイズについて順を追って紹介していきます。
先程も述べたように「キリム」とは、トルコの言葉で「平織りの織り物」という意味を持ち、毛足が無いのが特徴です。
平織り:経糸(たていと)と横糸を交互にくぐらせて織る方法
ベーシックな「平織り」をはじめ、立体的な模様が出る「ジジム」、横糸を巻き付けながら織っていく「スマック」などの技法によってデザインにバリエーションが生まれます。
製造する地域や部族によって用いる技法が異なるので、好みのデザインを探すのも楽しみの1つです。
『キリム』という絨毯にはどんな素材が使われている?
高級絨毯の素材と言えば、「ウール」や「シルク 」が使われるイメージがありますが、キリムの主な素材としては以下の4つが挙げられます。
- ウール
- コットン
- ヤギの毛
- ラクダの毛
遊牧民の「家畜と共に生活をする」「水や草を追い求める」というライフスタイルから、上記のような天然素材が使われています。
尚、昔のキリムは「天然染料(草木染め)」が使用されていましたが、現代は「化学染料」が主流となっています。
絨毯のデザインに込められた意味とは?
キリムの魅力の1つに挙げられるのが「デザイン(文様)の豊富さ」で、個性的な1つ1つのデザインには作り手の想いが込められています。
- エリベリンデ(母神):豊穣など
- 狼の口:魔除けなど
- 生命の樹:永遠の命など
他にも数多くのデザインが存在するので、文様に込められた意味にも注目してみるとよりキリムの魅力に迫れるでしょう。
以下の「HIROO KILIM GALLERY(広尾キリムギャラリー)」というショップサイトには、キリムのデザイン・意味について紹介しているので、気になる方はぜひ参考にしてみてください。
古い絨毯は大きさがまちまち!『キリム』のサイズについて
キリムを探していると気になるのが、古いキリムのサイズが一定ではないことです。
そもそもキリムとは、昔使った人が必要としたサイズで作られているため、ものによってサイズの大きさも変わります。
尚、現代で作られているキリムには、用途に合わせて作られたサイズがあります。
ヤストク
ヤストクは、トルコ語で「枕」という意味を持ち、サイズは90×60cm前後となります。
日本では、「クッション」「敷き物」「タペストリー」などに使われることが多いです。
セッジャーデ
セッジャーデは、イスラム教における「礼拝用の敷き物」という意味を持ち、サイズは170×110cm前後となります。
日本では、「ラグ」「ソファーカバー」「タペストリー」などに使われることが多いです。
カルヨラ
カルヨラは、遊牧民のテントの中央に敷かれたり、荷物のカバーで使われたりする170×110cm前後の大きなサイズです。
日本では、「カーペット」「ソファーカバー」などに使われることが多いです。
キリムの購入を検討している方は、使う場所の寸法をしっかりと確認して、そのサイズに見合ったキリムを選択するようにしましょう。
伝統的な絨毯『キリム』の特徴まとめ
今回は、主に欧米諸国で使われる「キリム」について紹介しました。改めてキリムの詳細や特徴について簡単にまとめてみます。
- 「キリム」は、トルコ・イラン・中央アジア地域で作られた敷き物
- キリムの製法は「平織り」が基本
- キリムを作った遊牧民・部族によって名前やデザインが異なる
- 織られてから経つ年数によって分類される(古いものの方が価値が高い)
- 地域や部族によって製法が異なるため、デザインのバリエーションが豊富
- 主な素材は「ウール」「コットン」「ヤギの毛」「ラクダの毛」
- 1つ1つの文様に意味が込められている
- 古いキリムはサイズにばらつきがある
一概にキリムと言っても多種多様なので、初めて選ぶときは悩まれるかと思います。
また、品質の見極めも非常に難しいので、購入を検討している方はお店の方に相談するのがおすすめです。
